*2019年4月にフェイスブックに投稿した記事を再編集してお送りしています

出雲への旅の主目的は、奥出雲ウルトラおろち100km遠足(とおあし)に出場すること。それはあたかも劇中劇のような旅中旅。

100kmの部は5時スタート、60kmの部は11時スタートのため、ゆっくり朝食を食べてゆっくり宿を出た。フィニッシュ会場付近に運よく車を止められたため、木次線でスタート会場までしばしの電車旅。

さて、いよいよ初めてのウルトラマラソン。太鼓のパフォーマンスが素晴らしく、緊張感も和らぐ。

さあ、スタート。60kmの旅の始まり。まずは6km先の長者の湯エイドを目指す。周りに合わせてゆるゆる走る。天気が良くて気分も上々。T沢夫妻ともほぼ同じペースで進む。ほどなくエイド到着。いろいろありますが、朝食たっぷり食べたので、軽くつまんでさっさと次を目指す。この先のチョイ登りを超えると素晴らしい景色!桜も咲いてもう最高です。ホント、20kmまではこれぞランニングハイ!上り坂だってなんのその。ずんずん進んでいつのまにかT沢夫妻が見えなくなってしまいました。

途中の「鬼の舌震」という渓流景勝地も素晴らしかった!この手の景勝地は信州の専売特許と思い込んでいましたが、いやいやどうして、出雲すごいぜ。鬼の舌震エイドでは焼きサバ寿司が出ました。もちろんうまい!うまいんだけど2つ目に手が出ない。フルーツやら盛沢山なんだけど、手が出ない。あれ?もしかして胃腸の力が落ちてるのか?はい、この辺から徐々にペースは下降線。気持ちも下降線。さっきまで歩きゼロだったのが、30kmぐらいから徐々にのぼりは走れなくなってきます。それでもまだ下りで何とか挽回。34kmの八川エイドでは明らかに空腹だけど食べられなくなってきました。それでもおかゆにジビエのスープをかけて何とか補給。このスープが体に沁みました。

ここからラスボスのおろちループへ11kmの登り。そこから折り返して15km走るとゴール。なーんだ、あとほんの26kmかあ、かあ、かあ。すでに走る意欲は底をついております。支えは「こないだフルマラソン走ったんだからあと10kmは走れるはずだ。そうすれば後は下りだから何とかなる!」しばらくは登りといってもゆるいので何とかラン継続。40kmの延命水エイドに到着。おにぎりやらいろいろありますが、もう固形物は入る気がしません。チキンラーメンで何とか補給。でも結局2杯食べたんだよなあ。さあのぼりラスト5km。ところがおろちループの姿がなかなか見えてこないのよ。おっかしいなあ。ああ、やっと見えたよと思った頃にはもう半分以上歩き。やっとの思いでおろちループを超えて三井野原駅エイドへ到着。スイーツいただきま~す。

さあ、あとは下るだけだ。ホンの15km。走り出したらT沢夫妻と遭遇。「あれ、もっと先へ行ってると思ったのに」はい、前半のペースからどーんと落ちてますから。こりゃいずれどっかで逆転されるな、と思ったらちょっぴり気力がわいて延命水エイドまでの5kmはノンストップラン。意外にやるじゃないか。またまたチキンラーメンを食べて、さあ、あと10km。何とか行けそうかも。かも?かも?

ここから先は修行です。「どしたらゴールできるのかなあ?」「早くゴール着かないかあ」「走るしかないねえ」「そだねえ」とブツブツ独り言。このあたりから人の姿が少なくなるし、夕暮れが近づいてくるし、寂しいったらありゃしない。そしてラスト5kmの看板発見!しかし、完全に足が終わりました。あとは歩くだけ。最後のエイドもそそくさと抜けてひたすらテクテク。あと2kmの地点で後ろから足音が・・・。「たぶん来たな」はい、T沢夫妻でした。怪しげなおいさんに密着マークされてるけど、突っ込む元気もなくあっさり見送ります。そして・・・ついにフィニッシュ。

旅の旅 ああ奥出雲 奥出雲

ADK58(当時)