*2019年5月にフェイスブックに投稿した記事を再編集してお送りしています

何とか完走したものの、フィニッシュ会場ではふらふら。腹は減っているが食欲はない。せめて温泉にでも入りたいので、近所の温泉に電話するもどこも営業終了。コンビニで食料とビールを買って宿に戻り入浴後ささやかに乾杯。こういう時にお仲間がいて本当に有難かった。一人でこれだとフィニッシュの喜びもわびしさに変わってしまう。T沢さんお誘いに乗ってくれて本当にありがとうございます。

ひとしきりお互い今日のレースの話をしたところで、「明日どうしようね」「んじゃ、行ってみますか足立美術館」恥ずかしながら私はその存在を全く知りませんでした。で、翌日朝食をいただいて宿を後に、一路安来市の足立美術館へ向かいます。

1時間弱で到着。まもなく9時でちょうど開館でした。予備知識なく入ったらそこは「驚愕の連続」

まず、素晴らしい庭園にやられてダウン1、さらに借景との調和にダウン2、建物の窓がそのまま額縁と化す構成にダウン3、裏山に滝があって「へ―あんなとこに滝があるじゃん」と思ったら何と人口の滝でダウン4、ま、この調子でノックダウンされっぱなしです。

庭だけでもう病院送り状態なのに、横山大観やら菱田春草やら鑑定団で良く聞くお名前の、日本画の大家の作品がずらり。さらに現代日本画はあるわ、童画はあるわ、でもう参りました。

私だって美術展に行くこともありますよ。大概メインは確かにすごいけど、あとはそこそこな感じって結構あるじゃないですか。ここはもう全くつけ入るスキなしです。完璧です。日頃からつじつま合わせばっかりやっている身に「完璧」はもう恐れ入るばかり。創立者足立全康さんの前にひれ伏すしかありません。

ところがこれで終わらないから「驚愕」なのです。陶芸展示室には河井寛次郎と北大路魯山人の作品がずらり。河井寛次郎はここ安来市の出身だったんですな。河井寛次郎の作品が、自分には一番響いてきました。陶芸の合間に展示されている言葉がまたすごい。「苦しいことは仕事にまかせ、さあさ吾等は楽しみましょう」この言葉に初めで出会ったのはもう30年も前なんだけど、今でも意味がつかめない。

自分の好きなことを仕事にするために起業したけど、まだまだ楽しむ境地には程遠いなあ。

そんなこんなで、驚愕の足立美術館を後に帰路についたのでした。

帰りなんいざ田園將に蕪れなんとす

ADK58(当時)